平成22年、私は全麺協が主催する段位認定の五段位に認定されました。
それまでの私のそば打ち人生は段位認定と共にあり、運を味方に付け歩んできましたが、でもいざ五段位となると嬉しさよりも、その重さに気持ちが震えました。「そば打ち」、「そばにまつわる知識」をもう一度学び直したいと強く思い、先輩や知人に相談に乗っていただき、ようやく埼玉にお住いの安田先生を紹介していただきました。
先生は医療関係の学校で教鞭をとる傍ら、料理にも精通され、広い知識をお持ちになっています。また、仕事柄そば打ちも科学的に考え、証明されるところはとても分かりやすく新鮮です。

ということで、安田先生の一か月に一度のそば講座、第3回は「そば寿司」です。
私は以前、一度だけ他所で習ったことがあるのですが、その時は「まきす」を2枚使って作りました。ひっくり返すのが難しかったのを覚えています。ところが今回は「まきす」は1枚です。「市松」「蛇の目」「そば稲荷2種」の3種、興味が湧いてきました。
まずはそば打ち、更科そばを打ちました。「かわりそば」として1種は食紅を入れ桃色に、もう1種はなんとレタスの粉末を入れて緑色のそばを打ちました。このレタスの粉末は先生の自家製で、香りもなく、茹でても湯に色がつかないのが良いとのことです。レタスの粉末は初めて見ました。

 

さて、この3種のそばを茹で、寿司酢をまぶし、材料は揃いました。先生は手際よくそば寿司を作っていきます。「ちょっと待って!もう一度」と思うくらいの速さでした。さあいよいよ生徒の番、海苔の大きさや、巻いていく方向も忘れてしまい、皆で相談しながらワイワイと作りました。「市松」は一つひとつ四角に作るのがポイント、それがなかなか難しい作業です。そばは時間が経つと少し膨らんでくることも計算に入れて巻くこと。「あぁ上手にできない~。」 次は「蛇の目」、何回もそばの種類を変えて巻いていきます。私は渋めの蛇の目傘をイメージしましたが。結果はパッとしませんでした。綺麗な桃色を入れたほうが映えるようです。次回は可愛い蛇の目にしようと反省。
気を取り直し今度は蕎麦稲荷作り、そばに紅ショウガを混ぜたものと、稲荷の上に筍の煮物をのせ目先を変えて2種を作りました。

最後は盛り付けです。半月盆に姿良く盛り付けていくのですが、そう簡単ではありません。キャンパスに絵を描くようにとアドバイスがありましたがうまくいかず結局見本とほとんど同じになってしまい、美的センスの無さが露見してしまいました。
あしらいには柿の若葉や白髪ねぎなど食用になる葉を使います。紫陽花の葉や水仙は毒があるので使わないと教わりました。後で調べましたら毒のある植物は思いの外たくさんあることが分かりました。
ようやく出来上がり、全体にはきりっとしていませんが食べるのがもったいないようなそば寿司が完成しました。

 

平成27年8月1日
日本橋そばの会
会長 横田節子

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