先日友人から「家のリフォームが終わったら、完成した家のお披露目をしたいのでそばを振る舞ってほしい」との依頼がありました。
彼女はご実家が材木関係なので建築には詳しく、その上good senseの持ち主、どんな家になるのかこの日を楽しみにしていました。
さて当日、午後2時から始まったお披露目会はこのリフォームに携わった工務店の若社長夫妻、大工さん、タイル屋さん、左官屋さんとそれぞれの専門分野の方たちが来られました。建築は専門パーツがあり、皆さんは完成した家が見ることができない、だからぜひ家を見ていただきたくて計画をしたという。その場面に私のそばが登場するのがとても嬉しかった。
施主のイメージを工務店がしっかりと受け止め、一緒に作り上げてきた家はとても素晴らしかった。こだわった桐の無垢の床は足にしっとりと優しく、ところどころ使われている桧葉の壁からはほのかに木の香りが漂う。壁は漆喰が塗られていて自然な温かみがありました。「風が通る間取り、自然に近い材料で」が彼女のコンセプトと聞き、納得しました。
大工さんが三日間もかかってしまったトイレの話、漆喰の混ぜ方、塗り方の違い。床板を桐に決めた話を時間が経つのも忘れるほど興味深く、楽しく伺うことができました。宴たけなわで、いよいよ私のそばの出番がきました。彼女は私を大げさに風潮していたのが少しこそばゆかったのですが楽しみにして下さっているので振る舞いました。気分も体温も上昇気味の身体に冷たくキリリと絞まったそばは満腹でも別腹に収まるよう喉を通ります。「おいしい、おいしい」と言っていただき、ホッとしました。
昔、そばはハレの食べ物だったといいますが、今日のような改築祝のハレの日に、その役目をしっかり果たすことができたのも、そば打ちオタクを思い出してくれた友人のお蔭です。
そば打ちをしてきて良かったと思う一日でした。

平成28年7月17日
日本橋そばの会
会長 横田節子

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